禁無断転載
憲法令和2年度予想論点
職業選択の自由について論ぜよ。
何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。
(補足)
※昨年度憲法のテーマが簡単だったので今年は難化が予想される。上記問題文に何らかの文章を追加して出題される可能性が高い。
記述すべき論点
(1)何人も自ら従事する職業を選択する自由を有する。
(趣旨:職業を通じて自己実現を図り、かつ、生計を維持していく上で非常に重要な人権である。)
(2)自由の意味→「選択の自由」+「遂行の自由(営業の自由)」
★遂行できなければ選択した意味がないから。
(3)ただし、公共の福祉による制約を受ける。(判例に言及しつつ論じるのが良い)
すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。
★表現の自由と比較して緩やかな基準で判断すべきと解する。なぜなら、国民が自ら民主制の過程を通して是正することができるからである。
(4)判例
薬局距離制限事件
1.薬局を開設したい!!
2.県から不許可処分
理由:改正後薬事法による「薬局距離制限規定」
※申請後に薬事法の改正があった。
(3.1審・2審では経過措置に関する議論が主。どちらも「違憲」とはしていない。)
4.最高裁判決→距離制限規定は「違憲」
理由:消極目的規制(不良医薬品の販売防止)の場合には厳格な合理性の基準により違憲かどうかを判断する。
厳格な合理性の基準:目的が正当で手段が必要最小限度でなければならない。
小売市場距離制限事件
1.A氏が小売市場を営業中
2.小売商業調整特別措置法によって起訴(距離制限)
3.憲法22条1項に違反するとして争った。
4.最高裁判決→距離制限規定は「合憲」
・個人の経済活動に対する法的措置については、立法府の裁量的判断を尊重するほかなく、裁判所は立法府の裁量的判断を尊重するのを建前とし、立法府がその裁量権を逸脱し、法的規制措置が著しく不合理であることの明白である場合に限って、これを違憲としてその効力を否定することができる。
理由:積極目的規制(社会経済の調和的発展が目的)の場合には明白の原則により違憲かどうかを判断する。
明白の原則:目的・手段が著しく不合理であることが明白で無いなら合憲
東京都管理職選考試験事件【補足】
1.東京都が外国人の管理職選考受験を拒否
2.最高裁判決→「合憲」
★職業活動の自由を相当程度制約することは明らか
★あくまでも「要請」。しかし、要請に応じなかった場合には諸条件は有るが「指示」とすることも可能。
すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。
国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。
参考文献
https://ja.wikipedia.org/wiki/職業選択の自由

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