【令和4年度・数的処理】誕生日のパラドックス?! 確率問題の基本【国家一般職・大卒区分・行政No.20】
令和4年度・国家一般職(大卒・行政区分)No.20の問題です。
非常に典型的な確率の問題ですが、一度も解いたことが無い方は罠にはまってしまうかもしれません。
今回は問題解説の最後に『誕生日のパラドックス』と呼ばれる数学の問題についても、少しだけ触れたいと思います。
真面目に解こうとすると大変、、
確率の問題として、この問題を真正面から解こうとすると実は難解です。
なぜなら、問題で問われている『2人以上』の誕生月が同じという状況は、①2人の誕生月が同じで、残り2人の誕生月は異なる。②3人の誕生月が同じで、1人だけ誕生月が異なる。③4人とも誕生月が同じ。という複数の状況を含んでいるからです。
上記3つのパターンについてそれぞれ確率を計算するとなると、かなりの計算量が必要になってしまいます。
問題文の『言い換え』ができないか検討してみる
そこで、問題として問われている内容を、別の言葉で言い換えられないか考えてみます。
すると、『2人以上の誕生月が同じ』という状況は『全員の誕生月が異なっている訳では無い』とも言い換えられることに気が付きます。
すなわち、『全員の誕生月が異なっている』確率が分かれば、この問題に解答することもできそうです。
全員の誕生月が異なっている確率
全員の誕生月が異なっている確率は、上図のように計算することができます。
4人のうち1人に注目した時に、2人目が異なる誕生月である可能性は11/12となり、3人目が、1・2人目と異なる誕生月である可能性は10/12となり、4人目が他3人と異なる誕生月である可能性は9/12となります。
すなわち、これら4人全員の誕生月が異なる可能性というのは、上記した3つの分数の掛け算で計算することができ、『990/1728=55/96』となります。
問題文に立ち返る
ここで、問題文で聞かれていたことに立ち返ると、『2人以上の誕生月が同じになる確率』ですので、余事象であることの『全員の誕生月が異なる』確率を1から引くことによって、解答すべき確率を求めることができます。
したがって、『1ー55/96=41/96』が答えとなり、選択肢4番が正解となります。
【コラム】誕生日のパラドックス
補足となりますが、数学用語(?)に『誕生日のパラドックス』というものがあります。
上図に記載のとおり、40人の人達が集まった時にその中の2人が同じ誕生日である確率はどのくらいでしょうか?
1年は365日ありますから、感覚的にはかなりの低確率だと感じますが、今回の問題で使った計算式を用いて数学的に確率計算してみると、なんと約90%の確率となります。
この『人間の直感と計算結果の乖離』については、心理学的なアプローチからいくつかの説が提唱されており、一例として『ヒトは本能的に「自分と同じ誕生日の人がいる確率」に問題をすり変えてしまう』といった仮説が提唱されています。
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