【専門記述・憲法】31条・適正手続の保障【レジュメ】

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憲法31条にいう「適正手続の保障」について論ぜよ。

・憲法第31条
「何人も、法律の定める手続によらなければ、その生命若しくは自由を奪はれ、又はその他の刑罰を科せられない。」

※「適法手続の保障」=「適正手続の保障」(書籍によって記載が異なる場合有り)

論点・知識

・”生命〜を奪われ”といった文言は取り敢えず無視。
(記載するなら戦中の徴兵制度や現代の死刑制度などに言及することになろうが、中心的な論点ではなく時代錯誤感もあるため)
・以下の2論点を記載することとなる。

刑罰

(1)科刑手続の法定
:刑罰を科す手続は法律で定められたものでなければならない。

(2)科刑手続の適正
:(1)にかかる手続の内容は適正なものでなければならない。
Ex.告知・聴聞を受ける権利

(3)実体の法定
 犯罪刑罰を法律で定めなければならない(罪刑法定主義)

補足論点:条例による罰則
法律の授権が存在し、かつその授権内容が相当程度に具体的であり、限定されていれば許される。
授権:法律に根拠規定が定められていること(条例により刑罰を課す場合は原則必要)

(4)実体の適正
:(3)にかかる法律は適正なものでなければならない。

判例:徳島市公安条例事件
・刑罰法規が明確であるか否かは、通常の判断能力を有する一般人が判断できるか否かを基準とする。→条例は明確と結論
・道路交通法119条1項13号よりも重い刑罰を条例で定めても良いのか(上乗せ条例)?
→法律それぞれの趣旨目的内容効果を比較し、矛盾抵触があるかにより判断すべき。
(判例では合憲と結論。単純な文言の対比では無いとした。)

行政手続

(1)行政手続にも憲法31条の保障が及ぶことがある。
:行政手続は多種多様であり、刑罰と異なり国民の自由を制限する度合いにも幅が大きいことから、別途、判断基準が必要。

判例:成田新法事件
・行政手続は行政目的に応じて多種多様であり、相手方に事前の告知弁解防御の機会を与えるかどうかは、制限を受ける権利利益の内容性質制限の程度、行政処分により達成しようとする公益の内容程度緊急性等を総合衡量して決定される。
(結論:工作物等の使用禁止命令にあたり、事前告知・弁解・防御の機会を与える旨の規定が無くても合憲とした)

(2)行政手続と憲法38条

第三十八条
何人も、自己に不利益な供述を強要されない。② 強制、拷問若しくは脅迫による自白又は不当に長く抑留若しくは拘禁された後の自白は、これを証拠とすることができない。③ 何人も、自己に不利益な唯一の証拠が本人の自白である場合には、有罪とされ、又は刑罰を科せられない。
結論:行政手続にも憲法38条は適用されると考える(判例は無し)。
理由:「刑事事件において」のように限定する文言がなく、行政手続の中には実質上刑事責任追及のための資料収集に直接結びつく作用を有しているものもあるため、一概に不適用とは言えない。

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